医師の私も薬を飲み忘れます。— 患者服薬遵守の現実

この記事の要点

患者服薬遵守は私のような救急医にとっても課題です。服薬遵守の低さは救急受診の原因 — でも小さな習慣が病院訪問を防ぎます。

– 医者でも薬を忘れることはあります
– 薬を飛ばすと脳卒中、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)、感染症に…
– 完璧じゃなくていい、大事なのは諦めないこと

父の「なんとなく」のひと言

ブログを始めて、医療テーマの最初の記事は救急医らしく胸痛や大動脈解離から始めようかと思いましたが、最近の個人的体験がよりリアルで語りがいがあると感じ、患者服薬遵守を初テーマに選びました。

最近こんなことがありました。父が指を切って縫合のため救急外来に来ました。処置後、抗生物質と消炎鎮痛薬を処方されましたが、息子の私に「これ本当に飲まなきゃ?」と聞かれました。

「はい、絶対です。皮膚損傷後の感染予防は必須です」と伝えましたが、父は「飲むの嫌だ」と頑な。なぜかと聞くと一言、「なんとなく」。

父だったので深呼吸して、「傷がきちんと治るために必要です。嫌でも飲んでください」と説得し、なんとか納得させました。

外来患者が同じことを言ったら1〜2回説得してダメなら「ご自分で判断してください」と言っていたと思います。

薬の服用を拒否する服薬アドヒアランスの問題を示す錠剤の画像

医師の私も薬を忘れます

実は告白ですが、私も毎日飲む薬があり、それをきっちり守るのは難しいです。

救急医の交代勤務で昼夜逆転、慢性睡眠不足が短期記憶に深刻影響、小さなことが飛んでしまいます。

朝薬飲んだか分からずゴミ箱から空のPTPシートを探したことも、ビタミン飲んだか分からず追加飲んだことも。

医者である私がこれなら、患者さんはどれほど大変か。

救急外来で見る患者服薬遵守の実態

救急外来には様々な患者が来ますが、患者服薬遵守の低さで来院するケースも少なくありません。飲み忘れ、外来フォロー漏れ、生活習慣改善怠慢などです。

高血圧・糖尿病などの慢性疾患は継続服薬が必要ですが、「長期服用は体に悪いと思って」「血圧・血糖が安定したから止められると思った」「外来1回サボったらそのまま」と中止し、収縮期血圧200mmHg超、血糖500mg/dL超で来院する患者が頻繁です。

高血圧管理不足で脳出血・大動脈解離、糖尿病管理不良で糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)、無症状心筋梗塞、急性腎障害など重篤合併症に。

切り傷・火傷でも抗菌薬飲まずドレッシング交換・外来フォロー怠ると感染悪化、通院で済むものが入院に。

なぜ患者さんは薬を飲まないのでしょうか

救急外来で直接聞いた理由は3つです。

1. 「このくらいなら大丈夫」

症状なければ病気ない気がします。高血圧が「沈黙の殺人者」な理由です。よく聞く「最近血圧安定してますよ」→その患者200mmHg超

2. 「長く飲むと体に悪い気がする」

頑固な誤解。副作用はあるが、高血圧薬・糖尿病薬を自己判断中止は副作用より危険。脳出血、大動脈解離、DKA —救急最優先疾患。

3. 日常生活が忙しい

一番現実的理由 —父も私も皆そう。薬面倒、外来予約面倒、1回飛ばすともう終わり。怠慢とは呼びにくい。人間だから当然

それでも諦めないでください

伝えたいことがあります。

薬飲みたくない、病院面倒 —分かります。私もです。

でも救急でよほど悪い状況で来る患者をあまりにも見てきました。

片麻痺脳卒中、DKAでICU、指感染が手全体に—皆小さな怠慢から。

完璧じゃなくていいです。時々忘れてもいい。完全に諦めないで

私も今日薬飲みます。

📚参考文献
– Vrijens B, et al. “A new taxonomy for describing and defining
adherence to medications.” Br J Clin Pharmacol. 2012.

– 日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン 2025 (JSH 2025).

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Dr. Edgeは、医師として、そしてひとりの人間として経験したことを、これからも書き続けていきます。

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